神流川概要

神流川概要

 神流川は、利根川水系に属する1級河川で群馬県の南西端、上野村にあるに三国山の北麓に源流を発し、先ずは南から北に向かい、漁協の事務所付近で直角に曲がって西から東へと方向を転じ、多野山地の谷間を流れ下って、高崎市新町付近で烏川と合流し、利根川に流れ込んでいます。(全長87.4㎞、流域面積407㎢)
 神流川の名の由来には諸説ありますが、その昔 日本武尊命が東征した際に相模湾で入水した妻である弟橘媛の『遺髪』を流したことから「髪 流る川」から転じて神流川になったという説や「上の方から流れてくる川」から変じたとする説もあるようです。
 神流川の特徴は、優しい川!と言えるかも知れません。早瀬と淵が連続し、漁場としての良好な環境を醸し出しています。流域全体に砂利の多いのも特徴と言われ、それが為に清流が維持されているという指摘もあります。神流川の水質は良好で「清流・神流川」と形容されます。神流川の南側には石灰岩の山が数十キロメートルに渡って連なり、そのためか水質のpHは8近くのアルカリ性の強い珍しい川としても特徴があります。
 上野村の合併浄化槽の普及率は90%を超えており、先代の村長のこだわりもあり源流部の村として40年間にわたり環境維持に努めてきました。
 河川へのアクセスも比較的容易で村の下流域では、河川敷への車の乗り入れも可能です。上流域では車の進入は出来ませんが、川までのアクセスは容易に出来ます。
 しかし増水時には様相を一変させ7~8mもの水位上昇が見られます。昨年の台風19号では600㎜/日もの大雨が降り、流域全体に甚大な被害をもたらしました。
 漁場としての利用は、本支流の全域に渡ります。神流川は、アユ漁から渓流漁まで同じ河川で両方できる珍しい川のようです。アユは種苗放流に頼りますが、ヤマメ・イワナ・ウグイ・カジカ・シマドジョウ・カマツカ・ギバチなどは生息しています。今では放流物ですがウナギもいます。下流のダム湖からの戻りヤマメである「サクラマス」も見られます。
 神流川の本流域は人家も点在しアクセスも容易なので比較的安全といえますが、支流の奥には険しい地形も多くあります。山岳渓流を目指す方は、『事前の調査と準備』を怠りなくして下さい。
 魚釣り、川遊びにはアクセスが容易なことから近年、河川敷にテントを張ってキャンプを楽しむ人も多くみられます。ルールやマナーを守り、美しい環境を維持しながら利用して下さい。
 東京から100㎞以内にある神流川、大きな河川ではありませんが、人々の癒しとやすらぎの空間として役割を果たして欲しいと思います。釣りや川遊びを通じてリフレッシュできる環境としてご期待下さい。

組合長挨拶

 しばらくお休みをいただいていましたが、この度ホームページのリニューアルが終わり、皆さまに情報をお届け致します。よろしくご愛顧のほどお願い申し上げます。
 平成8年に漁協の組合長に就任以来、既に20年以上の月日が過ぎてしまいました。色々な出来事が思い出されますが、振り返ってみて実に多くの方々に支えられて、力になっていただいたと実感しています。
 東京電力の神流川発電所の建設が決まり、ダム工事の開始を前にした「漁業補償交渉」が最初の仕事でした。五里霧中のような状況の中で何とか、協定書の調印に漕ぎつけ、その後ダム建設が行われました。
 上野村漁協が管轄するフィールドは、行政としての上野村の版図とほぼ同じです。上野村漁協の活動は村の山村振興策と表裏一体で、自分が組合長に就任依頼「村づくりに寄与する」ということを指針として今日まで歩んで参りました。山と川という対象の中で「川の活性化」を如何に図るかという事が、組合活動の根底に据えられてきたわけであります。
 組合長に就任してまずしたのが現状分析でした。色々なことを考えた末にたどり着いたのが、『資源有限』という現実です。「川の魚などボウフラと同じで、捕っても捕っても次から次へと湧いて出てくるから規制など必要ないし、自由に捕らせて良い」という現状を無視した考えが結構幅を利かせていました。そこへ「釣りあげた魚は、放してもらいます」というC&R区間の話を持ち出したものですから最初は大混乱しました。しかし釣りがブームとなり、大衆娯楽と化した現在においては、昔の郷愁に浸っているだけでは済まない厳しい現実がありました。
 漁協では行きつ戻りつ、足掛け3年の議論の末、平成11年3月に『関東地方、初』となる『C&R区間』の設営に踏み切りました。資源有限の前提に基づき、漁場をそれまでの全域一律利用から利用形態別に区分けした利用方法に変更しました。漁場をゾーニングし、禁漁区、一般区、C&R区間(後の予約制特設も含む)と分割し、釣り人のニーズに合わせて、漁場の高度利用を図るというのがその狙いでした。
 平成9年~平成18年にかけて神流川の源流部である「本谷(ほんたに)」に東京電力の神流川発電所が作られ、巨大なダムが建設されましたが、このダムの完成を待ってダム直下流から約2㎞を利用して予約制・人数制限の「本谷毛ばり釣り専用区」を開設し、人気のスポットとなっています。更に平成27年からは本谷の北側を流れる中ノ沢の一定区間を利用して「中ノ沢毛ばり釣り専用区」を開設し、この2ヶ所の予約制釣り場の存在は共に人気のスポットとしてご利用いただいています。
 シーズンオフの冬季には引きが抜群な魚・ハコスチが釣れる冬季釣り場も開設し、年々好評を博しています。
 神流川は小さな河川ですが、これからも釣り人のニーズに応えられるよう工夫したいと思います。加えて子ども達の『学習の場として、人格形成の情操教育の場として』神流川が活用できることを考えてみたいと思います。
 終わりに、神流川のC&R区間設営に向けてアドバイス頂きました故 西山 徹氏の言葉を記してご挨拶といたします。

【魚にとって棲み良い環境は、人間にとっても住み良いはずだ!】

上野村漁業協同組合
組合長 松元平吉

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